「プロパンガスは都市ガスに比べて料金が高い」そんなイメージはありませんか?
実際プロパンガスの料金が、都市ガスの2倍という地域もあります。
料金が高いなどネガティブなイメージがあるプロパンガスには、以下のようなメリットがあります。
- ①災害に強い
- ②どこでも使える
- ③初期費用がかからない
- ④発熱量が大きい
- ⑤環境や人体に優しい
逆に以下のデメリットもあります。
- ①料金が高い
- ②気づかないうちに値上がりしている可能性がある
この記事では、プロパンガスの特徴とメリット、デメリットについて紹介します。
プロパンガス(LPガス)とは?
プロパンガス(LPガス)とは、プロパンやブタンを主な成分とする液体石油ガス。「液体」と名のつく通り、マイナス42℃まで冷やすと液体になります。
またプロパンガスは、ボンベ形式で各家庭に供給されています。
一方の都市ガスはメタンを主な成分としてもつ天然ガス。都市ガスは地下に埋まったガス管を通して各家庭に供給されています。
プロパンガスと都市ガスでは、ガスの成分も供給方法も違うんですね。
プロパンガスの主な特徴は以下です。
- 特徴①プロパンガスの発熱量
- 特徴②プロパンガスの燃焼範囲
- 特徴③プロパンガスの利用で起こりうる不完全燃焼
- 特徴④プロパンガスを利用できる人
- 特徴⑤プロパンガスは料金が高い
それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
特徴①プロパンガスの発熱量
発熱量とは、ガスが燃えて発生させる熱量を示す値です。簡単に言うと火力ですね。
プロパンガスは1m3あたり24,000Kcal、都市ガスでは1m3あたり11,000Kcalとなっています。※プロパンガスの発熱量は、都市ガスの約2.2倍。
発熱量に2倍以上の差があるということは、それだけ火力に違いがあるということです。
参考:経済産業省 LPガスの基礎知識
特徴②プロパンガスの燃焼範囲
燃焼範囲とは、どのくらいのガスが空気中の濃度となると燃焼・爆発するのかを示す数字。
プロパンガスと都市ガスの燃焼範囲を比較してみます。
- プロパンガス:1.8~9.5%
- 都市ガス:5.0~15.0%
燃焼範囲は小さいほど、少ないガス漏れでも燃焼・爆発する可能性が高くなります。
プロパンガスは都市ガスの半分以下。プロパンガスを使っている場合は、都市ガス以上にガス漏れに気をつけるようにしてくださいね。
特徴③プロパンガスの利用で起こりうる不完全燃焼
プロパンガスで怖いのが、不完全燃焼による一酸化炭素中毒です。
古い機器の使用や換気が不十分などの理由で、不完全燃焼が起こった場合に一酸化炭素が発生します。
一酸化炭素は毒性が高く、吸い込んでしまうと頭痛、めまい、吐き気などの症状が現れ、最悪の場合、死に至る恐れも。
一酸化炭素中毒のリスクから、プロパンガスは危険だと思ってる方もいるのではないでしょうか?誤解されやすいのですが、プロパンガス自体に毒性はありません。
あくまで不完全燃焼を起こした時だけ発生するものです。
不完全燃焼を防ぐためにも、プロパンガスを使うときに気を付けてほしいことをまとめました。
- 空気(酸素)が不足しないように定期的に換気をする
- 不完全燃焼防止装置を設置する
- 古くなった燃焼器を交換する
- ガス漏れ警報器を設置する
使い方に気を付けて安全に使ってくださいね。
特徴④プロパンガスを利用できる人
プロパンガスを使える人は、戸建住宅または一部の集合住宅に住んでいる人です。
都市ガスではガス管が必要であるのに対し、プロパンガスでは専用のボンベや機器が必要です。
専用のボンベや機器が設置された物件に住む人だけが、プロパンガスを利用できます。
特徴⑤プロパンガスは料金が高い
プロパンガスと都市ガスの料金を比較すると、プロパンガスが2倍以上となる地域もあります。
プロパンガスの料金が高くなる理由は、会社ごとに料金を自由に設定できる自由料金制だから。自由料金をいいことに、高額を請求してくる会社も中にはあります。
一方で都市ガスは、国の認可の元、料金が決まる規制料金。2017年4月からは都市ガスも自由化となり、都市ガスの利用者はさらに料金の安いガス会社を選べるようになりました。
プロパンガスの料金が高くなる理由は以下の3つです。
- プロパンガスの供給にはコストがかかる
- プロおパンガスの料金は開示義務がない
- 顧客を取り合わない文化・風習の名残り
プロパンガスの供給にはコストがかかる
都市ガスは地下に埋まっているガス管を通してガスを供給しています。
一方、プロパンガスは充填されたボンべを各家庭に配送し、ボンベ経由でガスを供給しています。
たとえるなら、都市ガスは水道、プロパンガスはウォーターサーバーのイメージです。プロパンガスは、各家庭にボンベを配送、設置、点検するための人が必要。
人件費が利用料金に上乗せとなるため、プロパンガスの料金は都市ガスに比べて高くなります。
プロパンガスの料金は開示義務がない
プロパンガスはガス会社ごとに、自由に料金を設定できる自由料金制です。料金については開示義務がないため、一般に公開されていませんでした。
2017年2月に取引適正化ガイドラインが発表され、標準的な料金メニューの公表や消費者への説明義務が定められました。
しかし公表している会社は6割程度(2018年4月時点)
料金を開示していないガス会社がいまだに多いため、料金が高くなりやすい傾向があります。
※1 資源エネルギー庁 液化石油ガスの小売営業における取引適正化指針
※2 資源エネルギー庁 LPガス料金の公表状況調査の結果
顧客を取り合わない文化・風習の名残り
プロパンガス業界には、プロパンガスが誕生した1950年代から40年以上に渡って、ガス会社同士で顧客を取り合わないことを決めている文化がありました。
お互いの顧客を取り合わないため、価格競争が行われず、ガス会社は高値で提供ができていたのです。
1997年に液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律が制定され、ガス会社の新規参入と同時に価格競争が始まりました。
しかし顧客を取り合わない古い文化・風習は残り続けており、料金が高いままとなっています。
プロパンガスのメリット
これまでプロパンガスの特徴を見てきました。
特徴だけを見ると、デメリットのほうが多そうに見えますが、プロパンガスにも5つのメリットがあります。
- ①災害に強い
- ②どこでも使える
- ③初期費用がかからない
- ④発熱量が大きい
- ⑤環境や人体に優しい
一つずつ詳しく紹介します。
①災害に強い
プロパンガスは災害時の復旧が早いです。都市ガスが地下のガス管を通じて供給しているのとは異なり、プロパンガスは各家庭への個別供給。
そのため、災害時にガスの供給が停止されても、個別の点検で供給を再開できます。
東日本大震災では、都市ガスよりも11日早く、電気よりも約2か月早く、プロパンガスは完全復旧しました。※
ガスはライフラインの一つ。
地震の多い日本で、災害からの復旧が早いことは大きなメリットです。
※経済産業省「東日本大震災を踏まえた 都市ガス供給の災害対策検討報告書 」
②どこでも使える
プロパンガスは、専用のボンベを設置すれば使用できます。
対して、都市ガスは供給用のガス管がないと利用できません。
ガス管は大都市では通っていることが多いものの、小さな集落などでは通っていないことがあります。ガス管は地中に埋まっており、引き込むためには地下の工事が必要。
そのため工事には、大きなコストがかかります。
プロパンガスは簡単に設置できることから、幅広い地域で使用できることがメリットです。
③初期費用がかからない
都市ガスを利用するためにはガス管が必要。このガス管を引く工事は、設置を希望するご家庭の負担となり、平均10〜20万円のコストがかかります。さらにガスメーターや給湯器などを設置するため、初期費用は高額に。
対してプロパンガスは、ボンベやガスメーターの設置はあるものの、地下工事はありません。大きな工事がないため、初期費用は都市ガスに比べて安く抑えることができます。
また初期費用を分割のような形で月々支払えます。
月々の料金は比較的高くなる可能性はありますが、初期費用は大幅に抑えることができるのはメリットと言えます。
④発熱量が大きい
プロパンガスは1m3あたり24,000Kcal、都市ガスでは1m3あたり11,000Kcalの発熱量と、プロパンガスは都市ガスの約2.2倍。
発熱量の違いは火力の違いにもつながってきます。
料理が好きな人には特に、発熱量の大きさはプロパンガスのメリットとなります。
⑤環境や人体に優しい
プロパンガスが燃焼したときには、水と二酸化炭素が発生します。このときの二酸化炭素の排出量は天然ガスに比べると少量のため、プロパンガスは環境に優しいクリーンエネルギーと言えます。
またプロパンガスの原料であるプロパンやブタンに毒性はありません。
ただし不完全燃焼を起こした場合、一酸化炭素中毒のリスクはありますので、利用方法には気をつけてくださいね。
プロパンガスのデリット
5つほどメリットを紹介してきましたが、気になるのはデメリットですよね。
デメリットはこちらの2つです。
- ①料金が高い
- ②気づかないうちに値上がりしている可能性がある
①料金が高い
プロパンガスのデメリットといえば、料金が高いこと。
都市ガスと比較すると、2倍以上の料金となる地域もあります。
上でもお伝えしましたが、料金が高いのには、理由があります。
- 自由料金制
- 料金の開示義務がない
- 顧客を取り合わずに高値を請求する文化・風習が残っている
ガス会社によっても料金は異なりますが、比較的高くなる傾向があります。
②気づかないうちに値上がりしている可能性がる
プロパンガスは自由料金のため、利用者が気づかぬうちに値上げされている可能性があります。
例えば原価高騰で値上がりした場合、ガス料金は上がります。
その後、原価が下がっても値下げをせずに、そのままの料金を請求するプロパンガス会社が多いのが現状です。
そしてまた原価高騰でガス料金が値上げ。このように、あなたが知らないうちに、必要以上に値上げされているかもしれません。
また集合住宅などでは、ガスメーターなどの初期設備をプロパンガス会社が大家さんに無料で提供。その初期設備費用を、知らぬ間に入居者に上乗せ請求しているということもあります。
ガスの使用分のほかにも、料金を請求されている可能性があるんですね。
まとめ:プロパンガスの料金を下げる方法
発熱量も大きく、災害時に強いなど、メリットも多くあるプロパンガス。
大きなデメリットは料金の高さ。
では料金を下げるために何ができるでしょうか?
簡単にできることは、ガス会社を乗り換えることです。
乗り換えできることはわかったけど、できるのは戸建の人だけでしょう、と思った方、そんなことありません。集合住宅に住む人でも、大家さんの許可さえもらえればガス会社の乗り換えは可能です。
では乗り換えるといっても、ガス会社では料金も公表していないし、乗り換えたところで安くなるという確証もない。
それなのにわざわざ自分で複数のガス会社に見積を取るなんて面倒くさい。
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